【個人の税務調査の実例】支払調書があるものだけを確定申告していた
個人は相手先から支払調書が発行されることがあります。
この支払調書があるものだけを確定申告していたケースがありました。
支払調書の有無は関係なく、すべての売上げについて確定申告しなければいけません。
※ 守秘義務の関係で事実関係を変えています。
支払調書があるものだけ申告
デザイナーである個人事業者から税務調査のご相談をいただきました。
確定申告は自分で作成して提出していました。
お話を伺うと売上げと経費は正しく計算しているつもりとのことでした。
確定申告書を拝見すると売上金額に対して経費が多いように思われました。
もう少し細かく確認してみると売上漏れがあることは判明。
売上げについては取引先から支払調書が送られてきたものだけを申告しているとのことでした。
支払調書の有無は関係ない
確定申告をする際には支払調書があるかどうかは関係ありません。
支払調書は本来は本人に渡す必要はないのです。
本人に送っているのはあくまで参考としてであり、本来は義務ではありません。
よく取引先に「支払調書を発行してください」とお願いしているケースが見受けられますが、確定申告をするにあたって支払調書は不要です。
確かに支払調書があれば売上金額の確認をしやすいのは間違いありませんが、あくまで参考として確認する程度のものです。
実際に行った対策
- 事前に修正申告書の提出
- 支払調書の金額の確認
- 売上金額が1,000万円を超えたので消費税の期限後申告書も提出
- 売上漏れがあった理由は正直に事実を話す
この税務調査のケースでは、複数ある取引先のうち支払調書が送られてきたものだけを売上げとしていました。
そのためかなりの金額の売上漏れがありました。
ご本人はそれが間違いである認識がなかったのです。
支払調書の有無は関係ない旨を説明して事前に修正申告書を提出することとしました。
請求書の控えなどから源泉徴収されていた金額も把握することができました。
売上金額を修正したことにより1,000万円を超え消費税の納税義務が発生しました。
そのため消費税についても期限後申告しました。
参考 → 売上金額が間違えている場合の対策
支払調書の金額の確認も
支払調書があってもその金額が本当に正しいとは限りません。
実際に金額が違っていたこともあります。
単純に1か月分がずれていたり取引先の勘違いで金額が違ってしまうこともありえます。
支払調書に書かれている金額が正しいわけではありませんからしっかりとチェックすることが重要です。
この税務調査のケースでも1件だけ金額が違っていました。
調査結果
事前に正しい売上金額で修正申告書を提出していたので早期に終了しました。
事前に提出した修正申告書の数字でそのまま終了。
経費についてはご自身で適正に計算されていたことも早期終了につながりました。
領収書やレシート等はしっかりと保存されていたことから消費税についても問題になりませんでした。
やはり、税務調査当日の聞き取りの際になぜ当初の申告で売上漏れがあったのか?は問われました。
隠すようなことはせず事実を正直に告げることで調査官もすぐに納得しれくれました。
下手に事実と違うことを告げてしまうとつじつまが合わなくなり、事実関係を細かく調べられ長期化することがあります。
まとめ
- 支払調書の有無は関係なく売上金額はすべて確定申告が必要です。
- もし間違えて申告しているなら事前に修正申告書の提出を検討。
- 支払調書の金額が正しいとは限らないので確認。
- 嘘や事実と違うことは言わない。
支払調書はあくまで参考程度のものです。
支払調書が有無は関係ないことは意識しておきましょう。
私もご相談をお受けしております。
売上げが違っているケースのご相談は非常に多いです。
お困りの際はご相談ください。
こちらの記事もおススメです!
税理士 内田敦 【個人事業主の税務調査専門】
最新記事 by 税理士 内田敦 【個人事業主の税務調査専門】 (全て見る)
- 個人事業者は単純に利益が少なすぎると税務調査が行われやすい - 2024年10月4日
- 【個人の税務調査の実例】現金売上の領収書束を何枚か破り捨てていた - 2024年9月18日
- 【個人の税務調査の実例】提出のときに何も言われないから適当に確定申告していた - 2024年8月21日